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アラスカ便り

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コオリミミズ

こんにちは。AlaskaガイドのTacoです。

今日は、以前ブログ記事でもアップした、コオリミミズを、氷河上で僕がやっと発見できたので、そのレポートです!

やったー!見つけた。氷河までの道のり、きつかったな、、、。

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全長:約2cm

1円玉2枚分くらいの長さ

さて、さっそくこの写真に写っている、紐のようなもの!がコオリミミズです。

これを見つけにゆく過程もご紹介しましょう。どんなところに住んでいるのかがわかるはず。

コオリミミズ_b0135948_10050891.png

アラスカ州アンカレッジ市より車でちょうど1時間、ポーテージという地域に、バイロン氷河(Byron glacier)という名のついた氷河があります。

車を停めてトレイルがスタートするのですが、ほとんど散歩道のようなもので、たったの2kmしかありません。そこが整備されたトレイルなのですが、ミミズ探しはそのトレイルを終えて、一山越えてからがはじまり。

氷河に立ち向かってゆきます!

(上の写真は、トレイルを歩き切り、氷河が削り出したガレ場を歩いているところ。)

コオリミミズ_b0135948_10060455.png

600mをなんとか登り切ると、このような「生き物を拒絶するような世界」がひろがっています。アラスカらしい!この生命体を受け入れないような風景こそ、THE ALASKA のウィルダネスなんですよね。

コオリミミズ_b0135948_10061913.png

到着して休憩をしたら、スパイクのついたクランポンを靴に装着してミミズ探し!

そして、ミネソタ大学の研究者のレポートを読んでいた僕は、ここであっさりとコオリミミズを発見することになりました。

「下調べ」というのは超重要です!

コオリミミズ_b0135948_10063306.png

フィールド研究者のように、ピンセットでコオリミミズを掴んで撮影してみました。

ヌメッとした感じ、シンプルに気色悪い…。

なんか、地球外生命体に触れているような気持ちになりました。

このコオリミミズ、太陽光線のUV(紫外線)に弱く、晴れている日は氷の中に閉じこもって出てこないそうです。

また、不思議なことに、氷点下でしか生きることができず、人が温かい手で持つと、細胞は破壊されて死んでしまうとのこと。このような生物を好冷性生物(こうれいせいせいぶつ)というそうです。

コオリミミズ君には申し訳なかったが、一匹手のひらに乗せて実験をしました。さすがにその映像は、可愛そうでアップできませんでしたが、コオリミミズは、たしかに僕の手のひらの上で、2分後に死んでしまいました。彼らからしてみれば、僕の手のひらはフライパンと同様なのでしょう。

コオリミミズ_b0135948_10063791.jpg

この生物、いまでもNASAが真剣に研究をしている対象なんです。

僕がこの生物を見に行きたかったのは、皆さんに、地球にこそ地球外生命体のヒントは存在しているのだ、ということを考えてもらいたかったから。

この星の多様性(さまざまな生き方)を、そして独自の生き方を貫く生きものがいることを、知ってもらいたいからなのです。

もしかすると、木星の衛星であるエウロパの氷の下には、このコオリミミズのような生物が、遠く離れた惑星であっても存在しているのかもしれません。


by AandPTOURS | 2020-12-28 10:12 | 自然

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