アラスカの食虫植物
こんにちは。AlaskaガイドのTacoです。
今日は、食虫植物です。
アラスカという極寒の地に食虫植物がいるイメージってないですよね?
そこで、今日はプチ植物学講座も兼ねて、みなさんにもっとアラスカを知ってもらいます。
アラスカでガイドをしているとき、僕は全般な話をした後に、知識欲旺盛な方(コアなお客さんとよんでいる人たち)に必ずこのような博物学の話をするようにしています。
さて、食虫植物のモウセンゴケは日本にも生えていて、
ウィキペディアによると、
「モウセンゴケは北半球の温帯から亜寒帯にかけて広く分布し、日本では北海道から九州の湿地に生育する多年草」
とあります。岡山県は有名みたいですね。
亜寒帯までなので、アラスカのアンカレジより北には生えていません。北緯で言うと60度くらいが限界のようです。
では、ここでクエッション!
けっこうな広範囲で古くから生き続けてきたこの食虫植物モウセンゴケの、最大の武器はその名のとおり「虫を食べる」(正確には虫を溶解して吸収する)ことですが、なぜ、光からも光合成できて生きてゆくことができる食虫植物が、虫を食べる必要があったのでしょうか?!
・・・
正解というより、今のところ考えられている考察は、「子孫繁栄のため」です。
食虫植物は、湿地帯に多く分布するものの乾燥地帯にも樹上にも生えます。その唯一、全世界での共通点は、栄養の乏しい場所で生きているということです。
食虫植物は、そこをニッチとしたわけです。
※ニッチ:他の誰も住めないような場所で、独自の生きてゆく術を見につけ生存し続ける、その生きもの固有の生息地のこと。ビジネスではブルーオーシャンのことです。いま、われわれ観光ガイドもこのニッチの移動を余儀なくされています (;_;)
アラスカのモウセンゴケで言うと、ピートランドと呼ばれる痩せた土地にしか生息していないのに気が付きます。そこで、光と水だけで自分の命をつなぎつつ、虫を捕まえることができれば花を咲かせるエネルギーを得て、花粉を飛ばしてゆけるのですね。
ほんとうに小さな世界のことですが、植物の世界は多様で、あらゆる知恵に満ち溢れています。
アラスカを対象に30年活動している人でも、それよりもアラスカに長く住んでいる人でも、このモウセンゴケが生えていることはあまり知らないんですね。でも、南アラスカの森にはもっさり自生しています。