アウトハウス Outhouseとは、外便所のこと。昔、まだ家の中に水道設備が整っていなかった時に、家から結構離れた場所(匂うから)に深い穴を掘り、その上に木の小さな小屋を建ててトイレにしていました。トイレに行く時は家(ハウス)の外(アウト)に行かないといけないので、アウトハウスと呼ばれています。
これは、キャンプ・デナリ Camp Denaliというデナリ国立公園内にあるロッジに泊まった時のアウトハウス。各キャビン(部屋)の外にそれぞれのアウトハウスがありました。ハート型の窓が可愛い


アラスカでは、アウトハウスは昔だけの話ではありません。特にフェアバンクス郊外の電気が来てない場所に住んでいる人達のお家は、アウトハウスの場合があります。大きな理由の1つは気候。冬はマイナス30℃、40℃にもなります。下水道設備を引いた場合、送水管が凍らないように一定の熱を与えるか(アラスカは暖房代が高い)、常に水を流しておかないといけないので(長期外出が出来ない)、あまり現実的ではありません。アウトハウスでもバイオトイレ(人間の排泄物をおが屑などに混ぜて、自然界の微生物の力で分解し、匂いのない有機肥料に変えてしまう)をやっている人もいますが、その力が働くには12℃(55℉)以上の温かさが必要なんだそうです。夏は良いですが、冬はその力が止まってしまうんでしょうね。なので、シンプルに地面に大きな穴を掘り、その上に小さな小屋を建て、通気口を作り、ドアに
月の形をくり抜くだけ、の人が多いんだそうです。
月の形??そう月の形の窓やデザインが多いんだそうです。

アウトハウスは、500年以上も前の15, 16世紀頃のヨーロッパから始まりました。経済成長が著しかったその頃、観光客用に沿道にたくさんの宿泊施設が建てられ、アウトハウスは男性用は太陽マーク、女性用は月マークが描かれていました。その後、宿泊施設建設の競争が激しくなり、少しでもコストを下げるため、多くの施設が「男性はアウトハウスはいらない」ということになり、女性用のアウトハウスだけが作られるようになったので、今でもアウトハウスのデザインは月が多いんだそうです。
いろいろな月のデザイン