師走のヘラジカ
こんにちは。AlaskaガイドのTacoです。
今日はアラスカを代表する動物、ヘラジカの生き様をすこし見てみましょう。師走といえば、ひとが一年の中でもっとも忙しく動き回る季節なので、そう言いますよね。もしかしたら、いま仕事をしている中で、これを読んでくれている方も中にはいるかも知れません。

生き様と言うと大げさですが、彼らは季節ごとの、気候や植物にあわせたリズム、というものをもってます。生物学的には、サーカディアンリズムといいますが、もちろんわれわれ人間も持っているもので、最近は、ヒトが本来持つ、このリズムを取り戻そうということを言う人が増えました。
ヘラジカはと言うと、12月の師走の季節、あることに追われています。それは、相手探しです。

ヘラジカは、子供をかならず4月に産まなくてはなりません。それはなぜだかわかりますか?
では、もし8月に生んでしまったらどうなるでしょう。アラスカの8月は夏の終り、秋の始まりです。一年草の植物は枯れ、葉は緑から黄色になり落葉する季節です。そんなときに子を産んでしまったら、母親は、ミルクを子に与えるためのエネルギーを草木から得ることができません。

ヘラジカが4月に子を産まなくてはならない理由は、植物が芽を出しそれが緑で新鮮であり続ける季節、食べてミルクを作り、それで子を養うためなのです。
話を戻しますと、そういう理由があるために、ヘラジカは2月ではなく、12月に妊娠して4月に子を産み落とす必要があるのです。

そして、オスもメスも12月中に相手を見つけなくては、翌年春に子を授かることはできません。

そんな木々のリズムに自分の生活を十分になじませているヘラジカは、森の住人と言えます。自らを満腹にさせてくれる木々に対して、おそらくヘラジカは、どこかに優しい感情をもっていることでしょう。
ぼくらも、いまよりもう少しだけ、自然と親しい生活を取り入れていきたいものですね。